「三の丸コースから氷ノ山」 11年10月16日(日)


国土地理院地形図
 : 25000分の1 「若桜」、「氷ノ山」


 〜 はじめに 〜

 先月来、氷ノ山へ行こうと機会を窺ってきましたが、
ようやく巡ってきた好天の日に決行することが出来ました。
それでも山行前夜まで雨が降り続き、天候判断が難しかったです。
最近、土曜の晴天率が異常に低いと感じているのは自分だけではないと思います。
でも、どうにか順調に天候回復してくれて正直安堵しながらの早朝ドライブでした。

 延ばし延ばしにしていたおかげで紅葉最盛期の氷ノ山を満喫出来ました。
なお今回のルートは氷ノ山山頂〜氷ノ山越までを除いて全て未踏であり、
昨年に氷ノ山へ初登頂して以来温存してきたプランとなっています。









 行程概要 (山中のルートは不正確です)



 登りには三の丸コース。下りには氷ノ山越(旧伊勢道)コースを利用しました。
両ルートともメジャールートのため明瞭にはなっていますが、
雨上がりには滑りやすくなっているところや、水が溜まっているところがあります。

 三の丸コース下部はわかさ氷ノ山スキー場のゲレンデ内を通過しますので、
スキー場のゲレンデレイアウトを覚えておくと心強いかもしれません。

 7:13 三の丸コース登山口出発

 広いゲレンデ最下部に駐車して出発。
車道脇には登山口を示す道標があるので分かりやすい。
ここからひたすらゲレンデを登っていくだけで決まったルートなどはない。

ベースに近いのは緩斜面のロマンスコースなので、歩き始めは容易いのだが・・








ゲレンデ内の要所には道標完備

 ロマンスコースは基本的には緩斜面だが、所々斜度がきつくなるところがある。
重機が通過したところや、草刈がされている歩きやすいところを登っていく。

 ゲレンデはウィンターシーズンに向けて着々と準備が進んでいる様子が窺える。
今冬はラニーニャ発生、平年並みの気温ということで、まずは一安心出来る見通しにはなっている。
それでも外された経験があるので手放しでは喜んでいないが、予報が当たるように祈りたいものだ。








中急斜面のパノラマコース

 わかさ氷ノ山スキー場は上へ上がるにつれて斜度が増すゲレンデレイアウトとなっている。
このパノラマコースを登るのは歩き始めの足にはなかなかの難所だった。
前夜までの雨で地面が柔らかくなっていることも大きかった。このことは今日の行程を通じてかなり影響してくることとなる。

 それはともかく、この斜面は大回りでぶっ飛ばすのも、小回りで直線的に攻めるのにも面白そうな斜面だった。
わかさ氷ノ山スキー場は約20年前、友人の家族に連れられて1度来たことがある。
その時はもちろんこのような中急斜面は滑っていないが、東隣のイヌワシコースをどうにか滑っていた記憶がある。








チャレンジコースにチャレンジする

 パノラマコースをどうにか乗り越えても最後にチャレンジコースが立ちはだかる。
途中までは楽に滑りやすそうな緩斜面を登れるが、奥に見えているのは紛れもない急斜面だ。
ちょうどハチ北のパノラマゲレンデと北壁をコンパクトに凝縮したようなコース構成となっている。








胸突き八丁のチャレンジコース

 急斜面には階段道が付けられているが、それでもこの部分はかなりハードに違いない。
振り返ると展望が広がってくるが、予想外に霞んでいてちょっとがっかり。

 それにしても、このチャレンジコースは深雪、コブが想像される面白そうな斜面で、
考えるだけで自然に体がうずうずしてくる。
スキーを本格的に始めて以来、わかさ氷ノ山スキー場にはまだ来たことがないが、
滑りに来たくなる魅力を持つ斜面だと思う。
実際には来シーズンも奥神鍋と万場のシーズン券を申し込んでいるので難しいのだが、
一つのシーズン券で共通に滑走可能なスキー場が増えると嬉しいのだが。



 チャレンジコースを登るリフトの降り場が近づいてくると、トラックは一旦リフト下をくぐっていく。
この付近が特にぬかるみがひどく、また崩れかけた丸太階段を越えるなどちょっとした難所となっていた。








 8:07 わかさ氷ノ山スキー場最上部に到達

 三の丸コース最下部を出発して約1時間でスキー場最上部に到達。
リフト降り場からはなかなかの展望が広がっていた。
ここはかなりの高度感でちょっとしたスリルを味わった。

 ここからようやく本格的な山道に入っていくのだが、ここまでで既に標高差約420mを稼いでいる。
考えてみれば氷ノ山山頂までの標高差(約300m)よりも大きくウエイトを占めており、
気合を入れてゲレンデを登らなくてはいけないことが納得出来る。

 あと2ヶ月ほどすれば搬器が絶え間なく通過することとなるリフト降り場で小休止をとる。








 8:15 リフト降り場出発

 数分程度の小休止を経て出発。
日が当たっておらず、吹き抜ける風が冷たいリフト降り場で長居すると体が冷えてしまうので早めに出発するほうが良い。
ここからがいよいよ三の丸コースのハイライトとなる尾根歩きの区間となる。
三の丸コースは南から大回りするというイメージがあるが、道標の距離を見れば、三の丸休憩所(1.3km)、氷ノ山山頂(2.8km)とさほど長い道のりではない。








最初はやや急坂の三の丸コース

 スキー場だけで標高差420mを稼いでいるが、尾根に入ってもしばらくはやや急な登りが続く。
トラックは昨年歩いた東尾根などと同じく、明快な尾根道で歩きやすい。

 登るにつれて周囲の木々が色づいてきているのが見受けられる。
また行く手には明るい朝日が昇ってきており、自然に足取りも軽くなる。








 8:34 紅葉が見事なエリアへ

 やや尾根の傾斜が緩んでくる頃、朝日が照らす明るい区間へと突入。
それまでの日陰の区間では、晩秋を思わせる冷たい風が吹き抜けていたが、
日が当たると途端に暖かくなってきてとても気持ちが良い。
東の尾根上には、三の丸にある東屋がもう小さく見えている。

 歩くたびに見事に色づいた木々が目に飛び込んでくる。
自分にとってはどこでも撮影スポットで、途端に歩みが遅くなった。
この周囲の尾根上でかなりの時間を過ごしていたので、所要時間はあまりアテにならない。








目を奪われた、三の丸コースの紅葉

 登るにつれて落ち葉も目立ってきており、早くも晩秋の装いに・・。
先月からこの三の丸コースを歩きたかったのだが、自分の休日が天候に恵まれてこなかったおかげで
最高の時期に踏破することとなって良かった。
なお、今秋の紅葉は昨年に続いて色づきが良いという。初秋の台風の影響はあまり無かったようだ。








そして三の丸コースは更に緩くなり、散歩道状態に
















行く手にはチシマザサの草原が広がってくる

 シーズンを先取りしたゲレンデ歩き、そして紅葉狩りを満喫出来て短く感じる三の丸コースだった。
行く手にはチシマザサの草原が広がってきて、三の丸が近いことを知らせてくれる。

 周囲はある程度の展望を得られるが、基本的には背丈を越えるチシマザサの間を歩く。








 9:19 三の丸休憩所

 爽やかな草原歩きを経て三の丸休憩所を通過。
ここは夏の強烈な日差しを避けたり、また荒天時には避難所としても使えそうだ。








 9:25 坂ノ谷コース別れ

 休憩所を過ぎると、まもなく戸倉峠方面から登ってくる坂ノ谷コースと合流。
出合から南方は見渡す限りの草原が広がっており圧巻だった。
この周辺は雪に覆われる時期の好天の日に訪れると本当に爽快だろうなと思う。








三の丸避難小屋

 「坂ノ谷コース別れ」出合のすぐ北には避難小屋まである。
避難小屋があると高山にやってきたという気分がいやが上にも盛り上がる。
この三角形の造りの小屋は、NZのトラックでも「シェルター」としてよく見られるものだ。

 そして避難小屋を過ぎると、すぐそこが今日最初の目標の三の丸だ。








 9:30 三の丸(1,464m)到着

 草原上のちょっと盛り上がったところ、という感じの三の丸に到着。
宍粟50名山の番号No.1に指定されている。なお、昭文社・山と高原地図「氷ノ山・鉢伏・神鍋」では、ここが二の丸となっているが、
波賀町では三の丸と呼ぶと但し書きが付いている。このレポでも現地表記で統一したい。
なお、ここより少し北の1,448mピークを「二の丸」としている情報があり、自分もそれは順当と思われるのでそのまま掲載したい。

 少し前に歩いた日名倉山では山頂が三の丸となっており、地名の成り立ちとは面白いものだと思う。

 山名板の前からでも北には氷ノ山が見えているが、せっかくあるお立ち台に立って見ない手はない。
風がちょっと冷たいけど、お立ち台に登って見てみよう。








三の丸お立ち台からの展望(南側) 氷ノ山を望む北側の展望

 周囲にどこまでも広がるチシマザサの草原が圧倒的だ。
曇り空の景観の中でちょうど日が当たっているところが、先ほどまで歩いていた三の丸コースのある尾根だ。

 一方、北にはこれから目指す氷ノ山が、いくつか手前にあるミニピークの肩越しに見えている。
肉眼では頂上にある山小屋もよく見えている。三の丸からの距離は2.4kmだが、それよりも近くに感じる。

 昨年、氷ノ山山頂から三の丸方向を見て、この草原の尾根を歩きたいと思ったのが、今日の行程の動機となっている。
まさにこれからの区間が今日の行程のハイライトと思っていたのだが、
この後予想外の事態に直面することになることはまだ知る由もない。

 三の丸滞在中は曇りがちとなって、吹きっさらしの風が冷たかった。
防寒用としても用意しているレインジャケットを今秋初めて羽織った。

 そろそろ三の丸を出発しようかという頃、南側から親子のパーティーのお二人が登ってこられる。
一旦は自分が先行するのだが、二の丸付近で先行していただくこととなる。




10:00 三の丸出発

 いよいよ待望の三の丸〜氷ノ山の尾根歩きへ・・








三の丸から氷ノ山の草原の尾根歩き

 行く手には初めて見る角度で氷ノ山山頂がそびえており、シチュエーション的にはすごく盛り上がる区間だ。
チシマザサの草原の間を通るのは、三の丸到達以前と大きく変わらない。
基本的には歩きやすいといえるし、時折はきれいな紅葉も見ることが出来る楽しい区間だ。

 ところが外観からは計り知れない場面がそこにはあった。
至るところでマディーな状態となっており、とても快適に歩けるとは言い難い。
少なくともスパッツを装着していると少しは良かったと思う。
 自分はNZのあちこちでマディーなトラックに苦労したことが強く印象に残っている。
そのおかげでマディーといえばNZ、という思考回路になってしまったが、
この先で更にヒヤリとする場面に遭遇することとなる。








もちろんお目当ての紅葉も真っ盛り

 氷ノ山山頂から見た光景だと、開放的な草原歩きが続くという場面が思い描かれたが、
実際は予想外に変化に富んだ道程となった。
時折現れるマディーで足元を泥々にしたり、またミニピークを彩る紅葉を楽しんだり・・。
いつもなら熱心に行うはずの地図読みが少し疎かになってしまった感もある。








青空をバックに真っ赤に映える紅葉

 まもなく二の丸に差し掛かろうかという頃に目に飛び込んできたのがこの紅葉の木。
とても目にも鮮やかで本当にきれいだった。この日の紅葉の中でも最も印象に残った一場面となった。








10:35 二の丸(1,448m)

 燃えるように真っ赤だった紅葉を見るとすぐに二の丸に到着。
地形図にも標高点表記があるが、いたって普通のピークでモニュメントなどは全く無い。
二の丸からは氷ノ山が間近に見えていて、また最後の登りに入るまでは殆ど標高差が無いことから、
もう後は楽な行程を想像していた。ところが・・








二の丸から少し北に広がっている沼沢地

 行く手にまたマディーだと思ったら、今度はしかも深い!そして広い!!
出来るだけ沼地の端を通るようにして、木々の上をまさに綱渡り状態で通過していく。
それでも行く手が深いことを確認して引き返さざるを得ない場面もあった。
まさに思わぬ場所で「立ち往生」させられたような状況だった。

 咄嗟に思い出したのがNZ南島の西海岸、フォックスにあるガルウェイ・ビーチ・トラックでの経験で、
膝まで泥に浸かって強行突破したことだった。あの時の二の舞はどうしても避けたい!
あの時は海沿いのトラックだったこともあって、「後始末」はどうにかなったのだが、
ここ氷ノ山では下山するまでまだ先は長い。

 でもこの日は先行者が居るので、どこかに突破口があるはずと冷静に周囲を観察する。
そして行きつ戻りつしながら、倒木を橋代わりにしながら、ようやく沼地を突破。
突破したところは猛烈な笹薮が通せんぼしていた。そこからヤブを掻き分け少し西側へ進路を修正。
ようやくトラックに復帰することに成功した。
結果的には自分は少し東側に逸れて突破したことになる。
もしかしたら自分が勝手に苦労しただけで、西側にはもっと楽に通過出来る正解のルートがあるのかもしれない。
またの機会にはもう少し周囲をよく観察してみよう。








10:53 最後の登りが目の前に

 「浸水」の危機を突破すると、ようやく目指す氷ノ山と最後の登りが目の前に現れる。
この後は尾根を乗り換え、1,420m+コルから始まる標高差80mの登りを残すのみとなる。








三の丸からの道程を振り返る

 氷ノ山山頂まであと少しとなる頃、振り返ると三の丸からの尾根が広がって見えてくる。
実際に歩いてきた今だから分かるが、外観からは予想出来ない変化に富んだ道程が詰まっている尾根だ。
以前、氷ノ山山頂から見たことのある憧れの光景を、良い意味で違う感情を持って眺めることとなった。








11:12 氷ノ山山頂(1,510m)到着

 約1年4ヶ月ぶりで、秋は初めてとなる氷ノ山山頂だ。
山頂の広場はやはり賑わっている模様。
とりあえず、三の丸方面を眺められるトイレ付きの展望東屋へ立ち寄ることとする。








三の丸方面を眺める

 展望東屋は風が通って若干寒いためか誰も居ない。
氷ノ山山頂での時間だが、まず今歩いてきたばかりの道程を望遠レンズを使っておさらいすることから始める。








三の丸へと至る変化に富んだ尾根

 氷ノ山山頂から南側に広がるチシマザサの草原の印象が強かったが、
よく見ると色んな植生と地形に彩られた尾根だということが分かる。
二の丸の少し北にある高い木々が茂る辺りが突破に苦労した沼沢地。
後でわかさ氷ノ山スキー場で見かけることになる案内板にも、あの尾根上に「天然杉」の記載がある。
そういえば同じ杉でも植林とは違う趣があった。
 また二の丸周辺の笹原の中に散在する紅葉がより印象的だ。

 三の丸の向こうには、薄く三室山や後山等の山塊がそびえている。
帰宅後、広域地図で同定したのですが、万一誤りがあればご指摘いただくと幸いです。








チシマザサに覆われた三の丸

 三の丸にあるお立ち台と、それに乗っている人までくっきりと見える。
氷ノ山山頂まで続くトラックが笹の草原の間を縫っている様が牧歌的でとても良い。
これを見て昨年の自分は三の丸周辺を歩きたくなったのだが・・。



 一通り撮影後、三の丸方面を眺めながら昼食を摂る。
その後で賑わっている氷ノ山山頂の広場へと向かう。








 ※ 撮影2010年6月10日撮影
氷ノ山山頂(1,510m) 今回は三角点は撮影していない

 好天の下で賑わう氷ノ山山頂。出発時にはもっともっとごった返していた。
いつものパターンならば短焦点レンズに交換して三角点を撮影するところだが、
前回登頂時に撮影したし、わざわざ退いてもらってまで撮ることもないなと方針変更。

 前回は夏の緑濃い光景だったが、秋の氷ノ山とハチ高原はどうかな〜。

















 氷ノ山山頂以北の行程後半も見事な紅葉だ。下山も楽しい道程になりそう。
遠景が霞んでいるのが残念だが、秋の清々しい光景に大満足だった。

 氷ノ山の初冠雪は早い年は10月にはあるから、考えてみればもう色づいていても何ら不思議ではない。
ちなみに初冠雪の早い遅いと、その後に訪れる冬の寒さの度合いは全く別問題、というのが自分の経験則である。
むしろ早いほうが暖冬で、遅いほうが冬が寒くなるような気がする。








この後下る予定の氷ノ山越。氷ノ山越以北は2010年6月に東鉢まで縦走済である。
赤倉山東斜面は緑のじゅうたんがきれいに見えるが、あれは踏み込むのを拒む猛烈な笹ヤブである。








ハチ高原スキー場。中央ゲレンデではそろそろ人工雪を造り始める頃だ。ちなみに自分の好きなハチ北の北壁は鉢伏山の向こう側。

 そろそろスキーのレッスンDVDと昨冬の自分のDVDを見て、イメトレも始めなければいけない時期だ。
オフは長いようで短いなと感じる。




12:10 氷ノ山山頂出発

 気が付けば1時間近く山頂に滞在していた。
いつまでも見飽きない景観だが、どこからかタバコの煙が流れてきたのを契機として出発することにする。

 氷ノ山山頂から氷ノ山越までの区間は踏破済なので、純粋に紅葉を楽しむほうに重きを置きたい。








氷ノ山北斜面も見事な紅葉

 撮影時は晴れたり曇ったりで、カメラの露出調整に忙しかった。
三の丸方面と違い、氷ノ山山頂から北側は格段に歩いている人が多い。
やはり親水公園などから登ってこられている方が多いようだ。








12:33 こしき岩へ向かう

 この標識を見て今回は初めてこしき岩に立ち寄ってみることにした。
でも気軽に寄り道出来るかというと、そうとも言い切れないところだった。
三点支持をしっかり心掛けないといけないような岩棚をよじ登る。
自分撮りをしたかったが、安全第一で登ることを最優先した。
ちょっとスリリングな岩登りを終えるとそこには・・








紅葉に彩られたブン回し尾根を眺める

 こしき岩の上に立ってこの光景を見て、思わず感嘆の声を上げた!
山頂からの光景も見事だが、紅葉を楽しむにはこしき岩は外せないと強く思う。
自分のすぐ後から登ってこられた方々に自分の代わりに借景となっていただいた。
この後彼らは山頂側へ通じるルートからメインルートへ戻られる予定とのこと。
どうやらこしき岩へ登るルートは一つだけではないようだ。

 自分は残りの行程が少なくなってきたこともあって、しばらくこしき岩からの景観を楽しんでいくことにする。
いつものように自分撮りも試みたのだが、自分が紅葉を隠してしまったり、手前の岩の上に立つのは危険だったりで、うまくいかなかった。

 手前の岩から下を覗き込むと、登ってくるルートを俯瞰することも出来る。
メインルートを歩かれている方がよく見え、なかには今自分が立っているこしき岩を見上げている方々も見受けられる。
ここは高いところが苦手な方は避けたほうが無難かもしれない。
 自分がこしき岩に滞在している間、最初のお二人以外は結局誰も登ってこられなかった。



13:05 こしき岩出発

 思う存分こしき岩の高度感と景観を楽しんだ後、登ってきた岩棚を慎重に下っていく。
下方ではこれから登ろうとしている方々が見上げているのが見える。
落ちないように登りの時の記憶を頼りに、足場を確認しつつ降りる。
やはり下りのほうがスリルがあった。








錦秋の氷ノ山

 前述の1,390m+ピーク辺りから山頂を振り返ってまた感動した!
紛れもなく、氷ノ山が1年で最も華やかになっている光景なのだなと思う。
山肌から角のように突き出たこしき岩が印象的だ。




 氷ノ山山頂以南では断続的にマディーな箇所があったが、
山頂以北では排水溝を掘ることにより水が溜まらないよう心配りがされていて驚いた。
氷ノ山周辺のトラックの間でも、人気の度合いには差があるようだ。








13:45 氷ノ山越到着

 こしき岩から約45分で氷ノ山越に到着。ここはもう自分にとっては馴染みのある峠だ。
親水公園へは登り下りとも歩いたし、北向きには縦走している。
残る未踏ルートはこの後下る西側への氷ノ山越コースのみである。
下る前に峠のベンチに腰を下ろして小休止。これで紅葉の氷ノ山山頂も見納めとなる。








13:56 氷ノ山越出発

 峠のお地蔵さんに手を合わせて下山を開始。
もうこの後は期待する光景は無いと思ったが、それは大きな間違いだった。








赤倉山西斜面

 まさに山全体が紅葉で、目にも眩しいほどだった。
西に傾いた順光に照らされた午後だったから、余計にきれいに見えたのだろう。
赤倉山は東斜面と西斜面で大きく表情を変える山だった。








氷ノ山越登山道(旧伊勢道)

 親水公園から歩いた時にも触れたが、この氷ノ山越を通る峠道は古くは伊勢に向かう人が越えたという由緒ある古道だ。
今なら若桜からなら車で戸倉峠を越えるほうが早いが、昔は関宮、和田山、そして丹波方面へと抜けたのだろう。
元街道ということもあって、たいへん歩きやすくて情緒もある。
一部だが石畳が見受けられるところさえある。
登りに使った三の丸コースとは全く趣が異なるが、情緒では断然こちらのほうが勝っている。

 最初は紅葉の森を下るが、途中からは植林の森。
沢を渡るところもあって夏でも涼しそうだ。

 途中では春米(つくよねと読むらしい)へ下るトラックと分岐するところもあって要注意。








14:26 氷ノ山越コース登山口

 電気柵(夜間は感電する)を潜り抜けると、そこはきれいに整備されたキャンプ場だった。
氷ノ山越から下りでたった30分ほどであっけなかった。
山道はここで終わりとなり、あとは車を置いている三の丸登山口(ロマンスコース最下部)まで舗装路を下る。

 車道は基本的には道なりで下りだが、途中で分岐がある。
注意してスキー場に近づくように歩いていけば大丈夫。








わかさ氷ノ山スキー場が見えてくる

 キャンプ場からはそこそこ遠かったスキー場がだいぶ近づいてきた。
ちなみにこの道路は途中で路面が崩壊しているために車両進入禁止となっている。
またもや足元がドロドロになったが、徒歩ならば問題なく通過可能だ。








14:49 仙谷コース登山口

 そろそろスキー場に差し掛かる頃、次の氷ノ山での山行を誘ってくれる登山口を通過。
仙谷コースはこしき岩付近にまで突き上げる。機会を見つけて歩いてみたいものだ。

 ここから少し下ったところで、キャンプ場へ戻りたいのだけど・・、と単独の女性に声を掛けられる。
自分が歩いてきた道を戻る旨をお教えしたが、スキー場からキャンプ場へはそこそこ登らなくてはいけない。
キャンプ場に車を置いた場合は、そこまでピストンで戻るのがベターかと思う。








15:02 三の丸コース登山口到着

 懐かしい三の丸コース登山口に到着。キャンプ場に下山してから約30分かかった。
かなり日差しが降り注いだにも関わらず、まだゲレンデの地面は水が浮いていて柔らかい。
足元が気になる場面が多い山行だったが、但馬、因幡は「弁当を忘れても傘忘れるな」で有名なところだから仕方がない。
今度はスパッツを装着して歩いてみよう。

 とにもかくにも、好天に恵まれて素晴らしい氷ノ山の紅葉狩り山行となった。
かなりの充実感に包まれて家路につく。考えてみれば戸倉峠を越えたのも随分久しぶりだった。
ドライブルートとしてもなかなか楽しいプランだった。




 〜 終わりに 〜

 わかさ氷ノ山スキー場、及びキャンプ場から登る鳥取県側ルートは、兵庫県側の親水公園などから登るルートと遜色ないくらい楽しいところでした。
但し、兵庫県側から見て、登山口までのアクセスが若干遠いことが難点といえるでしょう。
レポ中でも触れていますが、地面が柔らかくて滑りやすいところが多いので油断大敵です。
前回の氷ノ山越から東鉢へ縦走した時も滑って指をケガしたことを改めて思い出しました。
もちろん、獣の足跡もたくさん見受けられますので、クマ鈴だけは絶対に忘れないようにしましょう。








行程断面図です




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