「ヒカゲツツジの彩 筱見四十八滝巡り」 08年4月23日(水)
国土地理院地形図:25000分の1「村雲」を参照してください。 約半年前に筱見から栗柄口まで多紀連山を縦走したが、今回は縦走時に行程から外していた筱見四十八滝を訪れた。 縦走した時から筱見四十八滝には興味があったが、「摩耶山さん歩」のてるみさんのレポにより、この時期にはヒカゲツツジという 花がきれいだということを知り、最盛期に合わせての訪問となった。このヒカゲツツジは関東以西の山地に見られるそうだが、 篠山ではこの筱見四十八滝だけで咲いているという。 心配した天気も午前中はなんとか晴れてくれて、しかも期待以上に楽しい滝巡りとなって短い行程の割に充実感抜群の1日となった。 6:35 筱見四十八滝キャンプ場駐車場到着 過去に2度丹波に山歩きに訪れているが、2度とも朝は曇りだった。でも今日はそのジンクスを破る晴天。これは幸先が良い。 ところでようやく正常化したガソリン代金だが、こともあろうに自民党は5月からまた悪名高い暫定税率を復活させるという。 普段は出来るだけ車を使わないようにしているが、自分は自民党の選挙対策に協力する気は全くないので、4月のうちに まとめて車利用の行程を消化しておき、5月以降は極力公共の交通機関を利用する予定である。 |
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6:45 筱見四十八滝キャンプ場出発 身支度を整えていよいよ半年前から楽しみにしていた滝巡りに出発! 縦走コースの入り口は西側のトイレ横だが、滝巡りはこの東屋から北へ向かう。 東屋横には既に小川があって、これに沿って遡行していくようだ。 |
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道標が完備されている筱見四十八滝周回コース 地形図からは急登が予想される遡行だが、出だしはいたって緩やかだった。 トラックの傍らにはこれから遡行する筱見四十八滝の滝名と順番が書かれている案内板が設置されている。 一の滝まで1時間となっているから、当然自分の場合はそれ以上にかかると思われる。 それにしても柔らかい朝日に照らされ始めた新緑が鮮やかで、とても目に心地良い。 |
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6:51 手洗い滝 緩やかに登り始めてすぐに最初の滝である手洗い滝に到着。よくあるパターンである、その滝姿から名付けられた名前ではなさそう。 行場への入り口にあたるから、手を清めるための滝だったのだろうか。そう解釈した自分はここで手を洗った。 偶然にも満足のいく自分撮りの写真が撮れなかったので、滝姿のみの写真を掲載。 身の丈よりも1.5倍高いくらいの小ぶりの滝だ。 なお、各滝ではそれぞれ充分過ぎるほどの撮影時間を掛けているので、到着時刻は全くアテにならない。 普通に歩くともっと早いことを最初にお断りしておきます。 ところでこの滝の横の岩場にはなんとコーヒーの空き缶が放置されていた。まだきれいだったのと、中身のコーヒーが少量 残っていたことから、ここ数日の間に放置されたものと見られる。行場にもなっていたところにゴミを捨てていくとは不遜極まりない。 初詣の際にゴミを散らかしていくのと同じで、ご利益は帳消しにされることだろう。もちろん見過ごすわけにはいかず回収しておく。 トラックは手洗い滝の前で左岸から右岸に渡り、滝から少しだけ離れた岩場を登っていく。 なお、これより先の滝周辺には必ず公式の案内板が設置されているので、滝を探してうろつく必要は無い。 逆に言えば紛らわしい踏み跡を見つけても無視して、ひたすら道標に従って歩くこと。筱見四十八滝の周回コースは ワイルドではあっても整備は行き届いている。 |
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7:20 弁天滝・肩ヶ滝 手洗い滝から程近いところに早くも次の弁天滝・肩ヶ滝が控えていた。予想以上にその滝姿は壮観で、最初に付けていた標準ズームでは画角が狭くて入らず、 遡行序盤でいきなり広角ズームへの交換を余儀なくされた。本当に広い滝壺と、下部が広がる美しい滝姿に見とれてしまう。 滝は2段で構成されているようで、上の段が肩ヶ滝だろうか。七曲滝に雰囲気が似ているような気がする。 傍らには祠があって、行場の雰囲気は充分伝わってくる。 お次は長滝だとわくわくして出発する。トラックは一旦沢から離れるように山腹道になった。 弁天滝・肩ヶ滝を大きく左岸から巻いて登っていく。道中コバノミツバツツジが満開になっていて華やかな雰囲気だ。 山腹道を登りきると長滝を指し示す道標が。せっかく登ったけど長滝へはメインルートから離れて一旦下っていくようだ。 |
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7:41 長滝 落差33mの堂々とした滝で、またまた見とれてしまう。そして絶壁に囲まれた滝壺が神秘的でさえある。 そして絶壁の上には淡いクリーム色をした花が。ここで初めてヒカゲツツジを見た。たいへん上品な印象で、 この花を目当てに訪れる方も居られるというのも頷ける。ここでは見たとおり接写は出来ないが、 後々たくさんのヒカゲツツジに出迎えられることとなる。 長滝をしばし見上げて堪能した後、来た道を登り返してメインルートへ復帰。次はシャレ滝だ。 長滝を過ぎてまもなく短い鎖場を通過。滝もそれぞれ見事だし、滝巡りコースも楽しくなってきた。 |
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「姉妹」と名付けたくなる壮観な巨木に出迎えられると、再び滝へのアプローチ道が分かれる。シャレ滝まですぐのようだ。 |
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8:16 シャレ滝 ところどころにツバキの花が落ちているシャレ滝に到着。何のシャレか分からないが、 この滝姿は六甲の西山谷にある「ふるさとの滝」に雰囲気が似ていると思った。 シャレ滝を堪能していると、いきなり後ろから声を掛けられてびっくりする。 自分と同じく単独男性の方で普通に挨拶をして下さったのだが、沢の水音で完全に他の物音は掻き消されていたので気付かなかった。 ビデオを撮影された後すぐに出発され、その後追いつくことはなかった。 今日出会った方は、このシャレ滝での方を含めて2人。 平日でもヒカゲツツジが見頃の今は、そこそこの方が滝巡りをされておられるようだ。 シャレ滝を過ぎると再び急坂と短い鎖場。そして一瞬周囲の景観が初めて望めた。 そこでも写真を撮影したが、その直後もっと広い展望を得られる岩場に到達。今日のハイライトシーンに到達したようだ。 |
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9:00 筱見四十八滝の岩壁に囲まれた岩尾根 終始涼しいけど薄暗い森歩き、沢歩きが続いた後に到達したので、余計にこの岩尾根が明るく感じる。 そして周囲のコバノミツバツツジと、岩壁に点在するヒカゲツツジのおかげで更に華やかな雰囲気だ。 雪が無くなるので春は淋しい反面、この光景を見ると本当に気分が和む。 ザックを下ろしてゆっくり楽しんでいくことにしよう。 |
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東側の山肌 新緑が日に照らされてとても眩しく見える。稜線を飾る木々が見事だ。 |
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9:26 展望抜群の岩尾根を出発 このまま山頂まで登ってしまってもよさそうな気持ち良い尾根道だが、まだ滝巡りは途中だ。 この直後再び急降下して沢へ復帰。しばらく沢沿いを遡行する。なお、滝巡りコース全線で沢床を伝う場面は無いので、 渓流シューズはなくとも問題はない。但し岩の上を歩くことは多いのでスリップしないように気を遣う。 |
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9:32 大滝 落差20mの大滝に到着。壮観な長滝を見た後ではちょっと名前負けしているような気がするが、 なかなか良い滝だ。そして滝も良いがその左岸側の柱状節理の岩壁もまた見事だ。 滝の周囲の苔むした岩壁が涼しげな雰囲気を演出する。 見どころ満載の筱見四十八滝滝巡りだが、あと残すところ一の滝・二の滝のみ。 最初の案内板によると一の滝までの歩行時間は1時間のはずが、ここまでで既に3時間ほどかかっている。 前回の多紀連山縦走時には滝巡りコースを外して正解だった。ここで時間を潰してしまい、とても日没までに栗柄口まで辿り着けなかっただろう。 とにかく楽しい滝巡りコースだと実感する。 |
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大滝を過ぎると右岸のザレた急斜面を登るが、そこには長大なロープが張られている。 そしてロープ場が終わると次は岩場を貫く鎖場。滝巡りコースのバリエーションの豊富さはまさに至れり尽くせりだった。 この鎖場はスリル満点という事前情報だったが、高いところが好きな自分としてはちょっと期待し過ぎたかも。 通過後に前からのシーンを撮影しようかと考えたが、見た感じ思ったほど高度感のあるシーンが撮れなさそうなので止めた。 鎖場を過ぎると左手にはメインルートとなる岩肌に張られた長い長い鎖。そして正面には最後の滝が待っていた。 ロッククライミングは後にするとして、最後の滝を拝ませてもらおう。 |
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9:57 一の滝・二の滝 弁天滝・肩ヶ滝と同じく二連の滝になっている一の滝・二の滝に到着。 一の滝の下は甌穴状になっており、しかも背伸びしないと見えないところが、石楠花谷の二連の滝を想起させる。 この滝は足場があまり良くないので、足の置き場には少々気を遣う。 ここでは渓流シューズがあると万全だと思うけど、沢から離れる区間が長いので登山靴のほうがいいかも。 これで8つの滝を全て観ることが出来た。それぞれ個性豊かで本当に楽しい滝巡りだった。 これほど濃い滝密度は、筱見四十八滝ならではだと思う。 ここで上から単独男性の方が降りてこられる。 地元の方のようで、周回コースを時計回りに廻りながら、ゴミを拾われていた。 自分も一番下の手洗い滝でコーヒー缶を拾ったことを伝える。 山に来るのはいいが、ゴミを捨てていくとは・・と憤慨されていた。全くその通り。 本当に山が好きなら絶対ありえない行為であり、自分としては全く理解出来ないことである。 ここでは滝の絶壁上に投げ捨てられているペットボトルを目にしたが、当然回収不能でお互いに悔しい思いをした。 とりあえずこれからもゴミは可能な限り回収していく。 単独男性の方はしばらく談笑した後、大滝に向けて下っていかれた。 滝の周囲にはヒカゲツツジが咲いていて、間近に観察することが出来る。 数枚接写したが、その名の通りにここでは日陰になっていた。上の岩場では日に当たっている花もあるようだし、 そろそろ出発することにする。 |
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10:33 一の滝・二の滝出発 一の滝・二の滝で滝巡りは終了。後は周回コースを踏破するのみである。 絶壁に掛けられた鎖を頼りに登っていく。けっこう急斜面だが足場はしっかりあるし、 鎖も頑丈なもので安心感がある。 行く手には青空が広がっていて好展望を期待させるが、鎖場の途中で今日一番の ヒカゲツツジの群生に遭遇出来たので、絶壁の途中で一旦停止して接写を始める。 ヒカゲツツジもやはり日に当たるとより美しさが増すように見える。 |
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満開のヒカゲツツジ |
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10:54 長大な鎖場を登り詰める 鎖場を登り始めてから20分ほどもかかっているが、これは前述の通りヒカゲツツジを前に止まっていたためであり、 普通に登るとずっと早いので念のため。 登りきるとここでも期待通りに素晴らしい展望を楽しむことが出来る。 そして短いながらも急坂が連続する区間はここで一段落する。 景観を眺めつつ一息入れることにする。しかし、先程までよりも風が強くなり、 そして雲が増えてきたような気がする。夕方からは雨の予報が出ているが、どうやらそれは当たるような気配だ。 |
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秀麗な筱見四十八滝の東尾根 まるで山水画の世界のよう。 地形図ではこの後、600m+ピークへ向けて破線道が描かれているが、 実際はこの後再び少し下って沢沿いに復帰する。 |
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11:07 筱見四十八滝源流部へ 岩場から一転、再び沢沿いを歩いていく。 これまで数々の名瀑を見せてくれた流れも既に細く、滝と呼べるものはもう見当たらない。 そして地形図の通りに源流部付近は、これまでとは対照的にたいへん緩やかになっている。 まるで別世界にやってきたようだ。 地形図では少し上部で谷が二方向に分岐するように描かれている。 しかしトラックはその分岐を見届ける前に西に向けて進路を変えるようだ。 |
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明るい雑木林が続く源流部付近 新緑とそして山桜が見事な明るい森の中の周回コースを歩いていく。 道標には懐かしい「多紀連山縦走コース」の名も書かれている。 この直後に緩い道と急な道に分岐する。急なほうが近道のようなのでそちらを選ぶ。 しかし緩いほうと比べてということのようで、思ったほど急ではなかった。 |
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しばらく登っていくと600m+ピークの北斜面をトラバースする形になって、まもなく下から緩い道と合流。 こんなことなら緩い道を歩いてもよかったかも。 振り返ると東には木々の枝越しに鋭鋒の635mピーク。その北の尾根続きに630m+ピーク。北には平らな616mピーク。 ここで今日初めて地形図の中で今どの辺りを歩いているのかが正確に分かってきた。 周囲はいつの間にか水は見られなくなり、もうただの森である。 それにしても明るい森でとても歩いていて楽しい。 |
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11:30 600m+ピークから北へ派生する尾根へ 新緑のモミジを見上げながら緩やかに登ると、今日初めて尾根道に出た。 右手は塞がれていて、左手にトラックが続いている。コンパスで確かめるとちょうど南へ向かっていた。 これまで北麓を歩いて結果的に迂回していた600m+ピークへ向かうようだ。 |
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600m+ピーク西斜面をトラバースして多紀連山の縦走尾根へ 600m+ピークへ向かうのかと思ったが、トラックは西斜面をトラバースする水平道になる。 登ってきた尾根上を辿ると比較的容易に600m+ピークへ到達出来そうだと思ったが、空模様も徐々に怪しくなってきたし、 最低限の行程を踏破することを優先する。 行く手には見覚えのあるなだらかなピークが見えてきた。半年前の多紀連山縦走で最初に踏んだピークである峠山だ。 まだけっこう遠く見えるがとりあえずあそこまでは歩いておきたい。 |
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多紀連山縦走尾根に合流 600m+ピーク西斜面の水平道をしばらく進むと、程なくして縦走尾根に到達。 一応三叉路になっているが、東へ向かうトラックはすぐに藪の中へ消えている。わざわざ公設の案内板にも「通行困難」と書かれている。 ちなみに地形図では600m+ピークを経由して、現在位置に下りてくるように破線道が書かれているが、この付近のトラックはかなり更新されているのだろうか。 東へ向かいそうなトラックは通行困難なことを確かめてから、振り返って西へ縦走尾根を歩き始める。 正面にはこれから向かう峠山が意外にも高く見える。これから20mほど下って80mほど登る。いずれもさほど急ではない。 |
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11:46 周回路、縦走コース出合 すぐに見覚えのある出合に到達。ここからは一度歩いたことのある縦走コースである。 結果的に今日の行程をもって、完全に縦走尾根を踏破したことになるかもしれない。 けっこう曇りがちになってきたが、峠山への往復くらいは出来るだろうと判断して西進する。 ここより以西の縦走コースについては多紀連山縦走で詳述しているので、ここでは簡略化する。 |
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12:05 峠山山頂 (630.6m) 緩やかな縦走路を登り詰めると峠山山頂に到達。 冬眠から覚めて間もないのか、動きの鈍いシマヘビに出迎えられる。今日はここで軽い昼食を摂る。 12:16 峠山山頂出発 段々と雲が重たくなってきた気がするので、早めに休憩を切り上げて出発。一路筱見キャンプ場を目指す。 なお縦走路沿いにもヒカゲツツジが咲いている。 12:27 周回路・縦走コース出合 10分くらいで出合へ戻ってくる。ここからはキャンプ場へ直行する周回路を下っていく。 縦走時に登りに使ったトラックであり、やや単調で面白みに欠ける区間ではあるが、雨が降ってくる前に下山したい。 この周回路沿いでもコバノミツバツツジが見事だ。(特に下部) |
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12:45 筱見四十八滝キャンプ場到着 縦走路の出合から下り始めてから、20分もかからずに下山。やはり下りは早い。 キャンプ場周辺ではちらほらと散策している方々が見受けられる。そういえば縦走時はここに戻ってきたのは暗くなりかけた18時頃。 昼間に戻ってきたのは今回が初めて。憩いの場としてのんびりした雰囲気である。 12:55 筱見四十八滝キャンプ場出発 山装備を解いて出発。帰路の途中にぱらぱらと降ってきた。 但し南下するにつれて晴れ間が多くなってきたが。やはり山沿いのほうが降りだしが早いようだ。 結果的に今日のハイライトのシーンだけは全て晴れてくれて、自分にしては珍しく天気運が良かったようだ。 今度はぜひ紅葉の時期の滝を見てみたい気がする。 |
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今日の行程の断面図です。![]() |